乾癬について

Q1:乾癬って?

「かんせん」と「か」を強く読みます。「かんせん」とアクセント無しで読むと「感染」の意味になってしまいます。患者さんによって症状の出方は大きな幅がありますが、赤く平べったい発疹(紅斑:こうはん)が白くがさがさしたふけ(鱗屑:りんせつ)をつけて全身のあちこちに多発します。一部の患者さんでは、関節のあちこちが痛んで変形してくる症状を伴うことがあります。

Q2:かゆいの?

およそ半分の方で痒みを伴いますが、発疹が多発しているからかゆい、少ないからかゆくない、というよりも患者さん毎で異なります。

Q3:珍しい病気なの?

この病気を説明されたとき、聞いたことがあります、とおっしゃる方はほとんどいらっしゃいません。風邪、糖尿病などに比べればずっと少ないですが、それでも日本人では数百人に一人はかかる病気で皮膚科の病気としては多く、皮膚科の教科書では太字や二重丸で目立つように書かれ、何ページにもわたって詳しく書いてある重要な病気です。

Q4:原因は?

持って生まれたなりやすい体質に後天的な要因が加わることで発症、悪化します。「なりやすい体質」は、これまでの研究で数十もあって患者さん毎に様々な程度で関与することが明らかにされており、単純な遺伝病ではありません。そして、肥満や高脂血症などのメタボリックシンドロームや喫煙、過剰な飲酒などの生活習慣の悪影響を強く受けることも知られています。ストレスや疲労でも悪化しますが、それだけではありません。

Q5:うつるの?

「かんせん」という呼び名が「感染」を連想させること、ふけのようなものが落ちること、などからうつる病気ではないかと思われることがあります。この病気はQ4で述べたようなことで起こることから、伝染しないことはご理解頂けるはずです。しかし、患者さんは「他の人からうつると思われているのではないか」と考えることで大きな苦痛を感じています。

Q6:治るの?

「治る」は二つの意味で使われているようです。一つは「なんの治療をしなくてもまったく症状がない状態」、もう一つは「治療によってほとんど症状が無くなった状態」。患者さんの病状には波があることが多く、人によっては前者の意味で「治る」ことがあります。また、治療手段も徐々に発達してきていることから後者の意味で「治す」ことができることは多くなってきました。直ちに症状を無くして二度と症状が出なくなる方法、という意味の治療法はありませんが、乾癬は一生治らない病気ではなく多くの方では治る病気だ、という考えで治療にあたっています。

Q7:どんな食べ物がいいの?

これを食べたら乾癬が治る、のような食べ物はありません。 Q4で述べたように、乾癬とメタボには深い関係があります。また過度の飲酒は乾癬を悪化させます。したがって、長生きの秘訣のような話になりますが、肉類、甘いもの、脂っこいものは避け、魚や野菜、食物繊維を多く採る食生活が望ましいです

Q8:普段の生活で気をつけることは?

まず、食生活や運動によるメタボ退治がキーポイントです。乾癬の発疹は擦れなどの外的刺激に反応して出る傾向がありますので、きつい服を着たりふけを落とそうとゴシゴシこすったりするのは避けましょう。また、太陽光線に含まれる紫外線は乾癬の発疹を落ち着かせる好ましい効果を持っています。人目が気になるのはもちろんですが、可能な範囲で日の光に当たるのは良いことです。ただし、ヒリヒリするほど一気に当たるとかえって悪化することが多いので気を付けましょう。

Q9:どんな治療があるのですか?

たいていの場合は塗り薬による治療が行われます。活性型ビタミンD3とステロイドの外用剤が用いられます。多くの患者さんではこの塗り薬による治療でかなり満足のいく結果が得られます。しかし、発疹が広範囲に及んだり、頑張って塗ってもなかなか効果が挙がらなかったりすると辛いものです。そのような場合には、光線療法や内服治療が行われることがあります。
光線療法は、ナローバンドUVBと呼ぶ特殊な波長の紫外線を照射します。皮膚への副作用が最も少なく最大の効果が得られる波長のみを照射する装置です。当院では部分用と全身用の照射器があり、特に全身用の照射器は広範囲に発疹が多発する乾癬の治療に適しています。内臓への副作用がなくご高齢の方でも安心して治療が受けられます。欠点としては、効果が出るまで週1、2回通院し十数回の治療が必要で、その後も1から2週に一度通院して効果を維持する必要があるため、時間的余裕がある方に限られます。
内服治療は、エトレチナートかシクロスポリンを用います。少量のエトレチナートは副作用が比較的少なく、今の発疹をもう何割か良くしたい高齢の患者さんに向いています。シクロスポリンは効果が1週間程度で見られ始める効果の切れ味の良さと症状の程度に応じて薬の量を調節できることが特徴です。一部の方に、血圧の上昇、腎臓や肝臓に負担がかかることなどがありますので、血圧測定や採血で副作用をチェックしながら治療する必要があります。また、主に飲み始めの時期に胃がムカムカする感じがすることがあります。
光線療法や内服治療で十分な効果が得られない場合、あるいはこれらの治療が副作用などで十分行なえない場合には、生物学的製剤という注射のお薬を使います。現在のところ3種類あり、患者さんの病状や事情に応じて相談しながら適切なお薬を選択します。効果は強力ですが、感染に弱くなる可能性があるなどいくつか注意すべき点があります。また、高価な薬剤であるため保険診療の決まりによって重症の患者さんにだけ使えることになっており、誰でも塗り薬の代わりに注射すれば症状が良くなる、と言うわけにはいきません。実際の治療にあたっては、高額療養費制度により自己負担額の軽減措置があります。 治療法の選択に当たっては、単に発疹をよくすることだけにとらわれず、相談を重ね、トータルで満足がもっとも得られる治療法を選ぶことを大切にしています。