筑波大学附属病院の研修システムは、開院当初からの国立大学病院初のレジデント制度を長年に渡って発展させており、全国トップクラスの研修体制を誇っています。当院における初期、後期研修の全体像につきましては筑波大学総合臨床教育センターhttp://www.hosp.tsukuba.ac.jp/sotsugo/をご覧下さい。
私たち筑波大学皮膚科の研修目標は「皮膚に関連するcommon diseaseの診療に精通するとともに稀少難治性疾患に関する知識も持った、皮膚に関する各分野すべてに基盤的力量を有する皮膚科専門医になる」です。つまりは「まともな皮膚科医」になるということですが、ただ漫然と流れ着いた場所でその日暮らしをしていてはその目標は叶いません。私たち筑波大学皮膚科では、関連病院を含めた指導医達もこの目標を共有して皆さんと一緒に精進しています。大学病院だけでなく関連病院も含めてローテートして研鑽を積むことでこの目標が達成できるようプログラムを作成しています。
初期研修 各人の選択したプログラムに応じて1から3ヶ月間、皮膚科で研修します。主に病棟で入院患者さんの受持医となって診療に当たります。皮膚科にとらわれずに医師としての基本的な態度と技能を研鑽することと、皮膚科的な診断や治療法の概要を知りその一部の初歩を実施できるようになることを目標としています。研修開始時には、指導医が面談して各人の希望を元に個別の研修目標を設け、後期研修医を含めた先輩医師が共有することで、その達成に協力します。
初歩が実施できるようになるものの例:ドレッシングと包帯法、外用法(ぬり薬には塗り方というものがあります)、褥瘡など創傷へのデブリドマンと外用剤選択、真菌鏡検
自ら実施し経験できるものの例:皮膚生検および皮膚腫瘍摘出術(切開、切除、縫合、ドレッシング)、病理組織診断
この4年間のうち、筑波大学附属病院で1~2年、関連病院で2~3年を過ごします。大学病院は重症、稀少難治性疾患を多く経験でき、多方面の専門家が病 院内にいるため重層的で多彩な学びができます。関連病院では、多くの場合には地域基幹病院(たとえば日立総合、水戸済生会、水戸赤十字、県立中央病院な ど)に勤務し、高頻度に遭遇する疾患の診療経験を積み、基幹病院に紹介されてくる多彩な疾患の診療に当たる中で、皮膚科医としての基盤的能力に磨きをかけ ることができます。地域基幹病院では、皮膚科医は3人体制のところが多く、その若手として勤務することになります。専門研修の一環として埼玉県立がんセン ター、国立がん研究センター中央病院、虎の門病院などに勤務する場合もあります。 関連病院毎に特色があり、単年度ではなく研修期間を通してローテートを考えていますので、大学病院と複数の関連病院をローテートすることで総合的な力を身 につけることができます。基盤的能力を高める中で、各人が興味を持った分野をそれぞれの場で掘り下げて学びサブスペシャリティーとすることを大いに推奨し ています。 定期的に指導医(主に教授や医局長)と面談し、研修の進み具合や個々のプライベートな事情も勘案しつつ、ローテーションも含めた研修計画を中長期的な視野 に立って随時相談しています。
2017年8月22日現在
平成29年度からは新専門医制度となる予定です。全基本領域全施設一斉に統一して「専攻医登録システム」で行う方針であり、初期研修医は後期研修プログラム一つへ応募する形となります(10~11月が募集期間です)。
筑波大学皮膚科は、充実した研究連携施設と共にプログラムをすでに作成し、学会の一次審査をパスしております(2次審査で改訂の可能性はあります)。
プログラム内容を掲載しますので、皮膚科専門医を目指す全国の研修医の皆様、応募をお待ちしています。
研修プログラム
皮膚科6年目以降は、大学病院のクリニカルフェローとして初期、後期研修医をまとめて診療チームを構成するか、地域基幹病院の中堅として、あるいはそれ以外の病院で一人皮膚科医として勤務します。これまで培った力を新たな場所や立場で発揮することで、一人前の皮膚科医として内外共に認められるようになります。 研修、研鑽は一生のものでレジデント課程を修了した時点で終わるものではありませんが、皮膚科専門研修の一つの節目は学会認定専門医取得です。日本皮膚科学会の専門医取得には、5年間以上の研修期間と定められた単位数を満たす学会発表、論文発表、講習会参加が必要です。よって、皮膚科後期研修開始時に入会したとすれば専門医試験を受験できるのは皮膚科医になって6年目以降になります。なお、初期研修期間中に日本皮膚科学会に入会すると、後期研修も1年までは皮膚科専門医研修期間に算入できますので、皮膚科を志す気持ちがある方は初期研修1年目当初から入会しておくことをお勧めします。入会にあたっては皮膚科学会代議員の推薦が必要ですので、ご相談下さい。
後期研修中に研究に携わることを推奨しています。詳しくは「大学院・留学プラン」をご覧下さい。
これまでの修了者の多くが、大学の教員、地域基幹病院の指導医、地域医療を一線で支える病院やクリニックの皮膚科医として、茨城県の地域医療に尽力しています。それと同時に、県外でも多くの修了者が活躍しています。例としては、秋田大学や埼玉医科大学の教員、国立がん研究センター中央病院のスタッフなどが挙げられます。茨城の皮膚科医療充実と共に、このつくばの地から県外、さらに世界に人材を輩出して貢献することが目標です。