ごあいさつ

皮膚科は、アトピー性皮膚炎や白癬のような日常的なcommon diseaseから皮膚悪性腫瘍や膠原病のような生命を脅かす難病まで幅広く多彩な疾患を扱う診療科です。また、皮膚症状は様々な全身性疾患において診断のカギになることも多く、皮膚科の専門家のみならずプライマリーケアを担うすべての医師がその基本を身につける必要があります。皮膚科は、病名や用語が難解だったり、疾患が数多くあることから、学生時代に親しみにくく感じた人もいるかもしれません。しかしながら、実際の皮膚科は、基本的な考え方をしっかり学びながら臨床の現場で丁寧に手ほどきを受ければ、決してわかりにくいものではありません。皮膚科に興味がある人はもちろん、皮膚科に苦手意識がある人ほど是非初期研修に回ってきて頂きたいと思います。この時期を逃すと皮膚科の基本を系統的に学べる機会はほとんどないからです。当科の初期研修では、指導医とマンツーマンで病棟の症例を丁寧に学びながら、一般外来や専門外来にも参加して豊富な症例を経験することができます。また、週2回の外来症例検討会では、診断や治療が問題となる症例を集中的に見学する機会があります。大学病院での研修は、扱う疾患に偏りがあるのではないかと不安に思う人もいるかもしれません。しかし実際には、大学病院でも皮膚科に関してはcommon diseaseは十分に経験できます。もちろん、当科は県内の多くの基幹病院と連携体制にあるため、そちらでの研修をあわせてあるいは単独で行うことも可能です。1ヵ月の初期研修でも多くのことを学べるとは思いますが、2ヵ月以上の初期研修をお薦めしています。このほか、ジュニアレジデントを対象としたプライマリーケアに重点を置いたレクチャーシリーズを月1回開催していますので、こちらへの参加も併せてお薦めします。

皮膚科に興味のある人は、皮膚科の専門家を目指して、是非後期研修に参加して頂きたいと思います。皮膚科は、小児から老人まで、また皮膚腫瘍や母斑・母斑症などの外科的な疾患から感染症、免疫・アレルギー疾患、膠原病などの内科的な疾患まで皮膚に関連する疾患すべてを扱う総合診療科であり、皮膚科の診療は、診察はもちろん、種々の検査や皮膚生検を自ら行い、自分で病理診断をし、内科的治療であれ外科的治療であれ、自身の手で行います。すなわち、皮膚科医は内科医でもあり、外科医でもあり、皮膚病理の専門家でもあります。また、外からみえる皮膚に病気をもつ患者さんの心の痛みはわれわれが想像する以上に大きく深刻であり、目で見える皮疹を患者さんとともに治療していくことで喜びも共有することができ、大変にやりがいのある診療科です。このように幅広い分野をもつ皮膚科では、必ず自分に合った興味のあるものを見つけることができますし、様々なライフスタイルに合わせて続けていくこともできます。

筑波大学皮膚科では、オールラウンドでハイレベルな臨床能力を養成するために最適なシステムと環境を提供できるように努めています。当科はスタッフの専門分野がそれぞれ異なっているので、様々な疾患の専門家から直接指導を受けることができます。特に皮膚外科/皮膚悪性腫瘍や膠原病の診療は国内でも有数の経験と規模をもっています。また、県内の重要症例が集中して紹介されるため、希な疾患を含めて、多彩な症例を短期間に数多く経験することができます。特に、外来症例検討会は他大学にあまり例をみないユニークなシステムで、臨床能力を飛躍的に向上させることに役立ちます。  筑波大学皮膚科は、筑波大の卒業生はもちろん、全国の様々な大学から集まっており、開かれた雰囲気をもっています。臨床研究や基礎研究も活発に行っており、オリジナリティのある成果を国際的に発信しています。学内の充実した研究リソースおよび研究学園都市としての恵まれた環境を利用して、様々な研究を進めることが可能です。