専門外来について

膠原病外来(担当:沖山・小川)

強皮症および皮膚筋炎を中心に、エリテマトーデス、血管炎などの診療を行っています。強皮症および皮膚筋炎に関しては国内有数の臨床経験をもっており、県内はもちろん様々な地域から患者さんが受診されています。膠原病では、「必要かつ十分な診療」が重要で、過剰な医療にならないように気を配りつつも、必要な検査や治療は時機を逃さずに行わなければなりません。また、膠原病は全身の様々な場所や臓器に症状がおきることがある疾患ですので、各分野に専門家のいる総合病院に通院することが望ましく、筑波大学附属病院では、各科の専門家が緊密に連携しながら質の高い診療を心がけています。また、当院から遠距離の患者さんも多いため、地域のかかりつけ医の先生とも緊密なコミュニケーションを保つようにしています。

乾癬外来(担当:古田・久保田)

「患者さんの最大の満足を実現する」をモットーに取り組んでいます。現在のところ、継続して百数十名の患者さんを拝見しています。
 乾癬の治療法は、(1)外用薬、(2)内服薬、(3)光線療法、(4)生物学的製剤を適宜組み合わせて行います。乾癬では、体の抵抗力が不必要に活性化し、異常な角化を生じた結果、独特の赤みのあるカサカサとした発疹を形成します。乾癬診療チームは、免疫および角化の専門家を擁するため、高い次元での病態理解に根ざした治療を受けることが可能です。一方で、最大の満足の実現に向けては患者さん個々人に対する理解が肝要ですので、長期間の治療に関わる精神・経済的な負担も視野に入れた全人的な診療を目指しております。
 また、茨城県乾癬患者会”ももなぎの会”等の活動を通して、患者さん同士のつながりの強化や疾患理解の普及に努めております。

水疱症外来(担当:古田)

水疱症とは、水ぶくれとただれがたくさん出来る病気です。ほとんどが後天的、しかも大人になってから、自分の免疫力が外的ではなく自分の皮膚をいじめてしまうために起こる病気でが、まれに先天的に皮膚の構成要素が弱くできている体質のかたもいらっしゃいます。後天的な水疱症の代表は、尋常性および落葉(らくよう)状天疱瘡と水疱性類天疱瘡です。ただれがたくさんできてしまうと、皮膚から水分や栄養分が失われ、ばい菌が侵入するために命に関わります。
強力な治療が必要で、主にステロイドホルモン剤内服による免疫抑制療法をおこないます。効果が不十分であれば他の免疫抑制剤の併用、大量免疫グロブリン療法、血漿交換療法を組み合わせて治療を尽くします。これらの治療手段により水ぶくれやただれを落ち着かせることがほぼ可能ですが、免疫力を抑えてしまうためにばい菌に弱くなるなど、いろいろな副作用が起こりやすくなってしまいます。そこで、初期の治療は数ヶ月の入院でおこなうことが多く、退院したあとは数週から3ヶ月毎に定期的に通院して頂き、病気の勢いに併せてお薬を減らしてゆくことと副作用を最小限に減らすための監視と対策を続けます。治りにくく、時にはお薬を減らしてゆく過程で病気の勢いが一時強まることもありますが、何割かの方は数年以上の治療を経て内服薬が不要になり完治しています。
したがいまして外来では、お薬の調整や生活習慣のアドバイスも含めトータルで副作用を最小限にして良い結果が得られるよう心がけて診療に当たっています。

アトピー外来・アレルギー外来(担当:乃村・沖山・小川)

アトピー性皮膚炎と皮膚アレルギー性疾患を診療しています。特に、中等症以上の症例に対して全身療法の導入にも積極的に取り組んでいます。

アトピー性皮膚炎について

アトピー性皮膚炎は、ともするとアレルギー性皮膚炎と同じ意味、アトピー=アレルギーと思われがちです。しかし花粉症をお持ちの方でアトピー性皮膚炎もお持ちの方が一部だけであることからおわかりのように、アトピー性皮膚炎はアレルギーだけで説明できるものではなく、皮膚の弱さや過敏などの内的な不安定さ、汚れやこすれ、掻き壊しなどの外的因子も複合して起こっています。
 当院では、お近くの皮膚科医療機関で治療していてもなかなか落ち着かないアトピー性皮膚炎患者さんを、適切と考える十分な時間をかけて拝見することを大切にしています。まずは、適切なスキンケアと内服外用による薬物治療をおこなう方法を相談します。多くのアトピー性皮膚炎患者さんは処方された外用薬を塗るだけで十分に良くなるのですが、こじれてしまったりして重症の場合には、なぜうまく治らないのかを一緒に考えてその解決策を一緒に考えてゆく必要があります。そのための時間を比較的とりやすいところが大学病院の専門外来です。普通の治療をすると普通に良くなる、ということが珍しくありません。それはお薬を処方するだけではない、色々なお話が出来るからだと考えています。
 外来に通院して毎回相談していると、こうやればいい調子が保てるな、こんな症状の時にはこの薬をこう塗ればいいな、これはわからないから次の受診の時に皮膚科医に質問しよう、など「ご自分の皮膚炎がご自分で治療できる」ようになります。そうなれば良い状態を保つことができるようになり、大学病院の専門外来を卒業してお近くの皮膚科医療機関での治療に戻って頂く事が可能になります。

皮膚アレルギー疾患について

薬物や食物、金属などのアレルギーについて検査や対応策の相談に応じています。皮膚は外界との接点ですので、アレルギー反応が起こりやすい臓器です。消化器、呼吸器と同時に皮膚に症状が出ることも良くあります。一方で、アレルギーという言葉が一般によく知られているため、何か不快な症状があると科学的な根拠に乏しいままにそれを全てアレルギーに結びつけて苦しみ心配されている方も少なくありません。現在の医学水準では、採血一本すれば何のアレルギーかが全て明らかにできるような検査はありません。良くおこなわれている特異的IgE検査も、患者さん個々の症状を専門知識で解釈することなしでは正しく活用することができません。当院では、患者さんの気になる症状を元にアレルギー性であるかを考え、それを解明する検査法があれば提案し、その結果を基に今後の生活に関するアドバイスをしています。
 多くは外来での相談、検査で済むことが多いのですが、症状が誘発されるかを確認する負荷試験や重症アレルギー急性期の治療は入院でおこないます。人手や時間を含めた高度な設備を持つ当院でこそ可能な精密検査や集中治療には特に力を入れて取り組んでいます。

レーザー外来(担当:石井)

主な対象疾患:苺状血管腫、単純性血管腫、毛細血管拡張症、太田母斑、異所性蒙古斑

当院では色素レーザー、Qスイッチ付レーザーを保有しており、それぞれ赤い色素を持つ皮膚のあざ、黒い色素を持つ皮膚のあざに有効です。当院でのレーザー治療には10年以上の経験があり、その間治療を受けられた多くの患者さまの治療経験から、より有効で安全なレーザー治療を目指しています。レーザーの効果は疾患によって、また患者さま個人でまちまちですので、最初によく相談し、治療を開始しています。レーザー治療に適さないと思われる病変に関しては他の治療をおすすめすることもあります。
 あざのなかには、できるだけ早期に治療を開始することが良好な結果につながることもあるので、あざが出来た時には早めの受診をおすすめいたします。

腫瘍外来 (担当:藤澤・中村・田中)

主な対象疾患:手術が必要な皮膚科関連疾患および軟部腫瘍(造血器腫瘍を含む).

当外来では,手術が必要とされる皮膚疾患をほぼ全て網羅しており、根治性のみならず整容性や入院期間短縮など、quality of life (QOL)を両立した皮膚外科治療を追求しています。
 特に、悪性黒色腫に対する免疫チェックポイント阻害剤の豊富な使用経験は当科腫瘍チームの誇る部分であり、世界に向けて最新のエビデンスを提供し続けています。大学病院の特質を生かして、放射線科や腫瘍内科と連携した集学的療法、さらには全人的なサポートを必要とする終末期ケアまで幅広く対応可能です。
 外科的な治療を要するあざやほくろ(母斑)や先天的な原因で生じる母斑症等も、工夫を凝らしながら、QOLの維持を最優先して診療いたします。