教授からのメッセージ

第4代教授 乃村俊史

私は、2020年11月に筑波大学医学医療系皮膚科の第4代教授に就任しました。筑波大学医学医療系皮膚科は1976年に開講した比較的若い教室ですが、上野賢一先生、大塚藤男先生、藤本学先生という日本を代表する錚々たる指導者のもと、皮膚科の歴史にしっかりとした足跡を残してきました。良き伝統を大切にしつつ、これから生まれ変わる新しい筑波大学皮膚科教室を、ぜひあたたかくご支援いただければと存じます。

私が学生さんや若い研修医の先生に一番伝えたいことは、シンプルですが「皮膚科は面白い」ということです。私は大学入学時には皮膚科には何の興味も持っていませんでしたが、恩師である清水宏先生(北海道大学皮膚科名誉教授)が「皮膚科は医学のロマンだ」と熱く語る姿に興味を覚え、皮膚科医になりました。皮膚科学は、単に皮疹の形態を見て瞬時に診断するだけの、いわば経験に立脚した職人芸の学問と思われがちですが、清水先生のお言葉の通り、その実、至るところに珠玉のサイエンスが散りばめられている、壮大で深い学問です。疾患を常に肉眼でダイレクトに観察することができ、さらに、その病変の中で起こっている現象を深く考察することができる臨床科は皮膚科以外にありません。皮疹がわかるようになるとそのメカニズムを知りたくなり、メカニズムがわかるようになると皮疹がさらにわかるようになりますから、皮膚科学は臨床(マクロ)と研究(ミクロ)がとても合理的に噛み合っている学問であると言えます。私は、教室員には、臨床にもサイエンスにも長けた、「自分の言葉で病気を語ることができる」皮膚科医になってほしいと強く願っています。同時に、臨床の現場では、患者さんの心の痛みがわかる人間性がとても大切です。教授職を始めるにあたり、いろいろな目標がありますが、せっかく定年まで20年間以上ある利点を活かし、次世代を担う、バランスのとれた皮膚科医をじっくり育てることを第一の目標にしたいと思います。

筑波大学の理念をあらわす言葉の一つに「IMAGINE THE FUTURE」があります。筑波大学皮膚科は、この言葉のように、未来の皮膚科学を想像し、そして創造する、そんな教室でありたいと思います。当科には出身大学の壁はありません。実力勝負です。夢を持った若手の先生の参加を心よりお待ちしております。